ピコレーザーのペンタイプとは
ここ1、2年でピコレーザーのペンタイプがネット通販で買えるようです。
しかしこのピコレーザーのペンタイプは、
本当にピコレーザーなのでしょうか ?
医療の観点からこのペンタイプのピコレーザーについて検証してみましょう。
ピコレーザーは医療機器
ピコレーザーとはそもそも医療機器です。
医療機器とは非常に厳しい臨床治験(安全と効果のチェック)を通して、
その効果と安全性が確立されたものだけが、
厚生労働省から医療機器の認可を受けています。
ピコレーザーはこの厳しい審査認可のもと製造された
医療行為として使用される機械です。
インターネットの通販で簡単に買えるものではありません。
ピコレーザーが流行っているのでピコレーザーという
名前を勝手につけたと考えられます。
ピコレーザーはレーザーの種類の一つ
レーザーには様々な種類があります。
大きく分けるとたるみ取りのレーザーと
シミ取りのレーザーになります。
ピコレーザーはシミ取り型のレーザーとなります。
しみとり系のレーザーには古くからある Q スイッチ ヤグレーザー、
ダイレーザー、ルビーレーザーなどがあります。
その中でもピコレーザーはここ4、5年で前に開発された
最新鋭の機種です。
ピコとは
そもそもピコレーザーの「ピコ」とは何のことでしょうか。
りことは正確に言うと「ピコ秒」のことで時間の単位です
1秒の1/1000が1 ミリ 秒。1 ミリ秒の1/1000が1ミクロン秒。
1ミクロン秒の1/1000が1ナノ秒。1ナノ秒の1/1000が1ピコ秒です。
このピコ秒、単位でレーザーが発射されているので
ピコレーザーと言います。
ざっくり言うとレーザーがピっと発射されている時間を、
「100ピコ秒間とか55秒ピコ秒間発射されている」と表現し、
このピコ秒の単位の非常に短い時間の間隔でレーザーが
発射されているので、 ピコレーザーと呼ばれています。
ピコ秒間にレーザーを出すには 大きな機械が必要
ピコピコという瞬きよりも短い時間のみレーザーを
発射するためには大きな機械が必要です。
具体的なサイズとしては、冷蔵庫や洗濯機ぐらいの大きさになります。
機械の中には特殊な金属の結晶が入っています。
この金属の結晶に高い電気をかけることによって
レーザー光線が発射されます。
このレーザー光線をたくさんのミラーやフィルターを通すことで、
適切な治療のためのレーザー光線になるのです。
とても高い技術が求められる医療機器ということになります。
ペンのサイズではピコレーザーを作り出せない
このようにピコレーザーは非常に高いエネルギーを必要とします。
このエネルギーを満たすためには
ペンのサイズの小ささでは不可能です。
なので、実際にシミ取りやタトゥーを除去するために必要なエネルギーは
出ていないと考えられます。
またピコレーザーというものは正しいエネルギー、
正しいレーザーが出ているチェック機構も働いています 。
適切なレーザーが出ていなければ、
逆に肌のダメージを与えてしまうことがあります。
ペンのピコレーザーが安定してるかどうか
本物のピコレーザーはレーザーが安定いる安定してるかどうかを
セルフでチェックしています 。
例えばある強さを設定した時に一回一回発射されるレーザーが
それよりも強かったり、弱かったりということが、
わずかな範囲で起こりうるわけです。
ちゃんとした医療機器のピコレーザーは
これらのわずかなブレをちゃんと補正しています。
またあまりにも強すぎるあまりにも弱すぎる。
そういった場合は、
自動的に安全機構が働いてレーザーを止めたりします。
仮にこの設定でレーザーを当ててくださいと書いてあっても、
実際レーザーが不安定な場合。 設定よりも強い。
パワーでレーザーが当たってしまうと肌に傷跡を残しかねません。
このようなことからも、
不安定なレーザーを使用することは適切とは言えません。
ペンのピコレーザーでは適切な波長を選択できない
レーザーには波長というものがあります。
例えば虹は7色の色があります。
7色ある理由は光の波長が違うからです。
レーザーも同じで、
治療したいものによって波長を変えてレーザーをあてます。
ピコレーザーは何種類かの波長を持っています。
そしてそれぞれの波長によって治療できるもの
治療できないものがあります 。
例えばシミ治療ならこの波長、
タトゥー除去なら この波長、というものがあります。
またタトゥー除去に関しては赤や黄色オレンジなどの暖色系はこの波長、
青や緑紫などの寒色系はこの波長、というように、
レーザー波長を使い分けることで
より早く綺麗にとれるのです。
ペンのピコレーザーではこのような複雑な波長の
切り替えをすることは難しいです。
適切な波長を使用しなければ効果がないだけではなく
かえって肌に傷を残すといったリスクもあります。
ピコレーザーペンタイプのまとめ
以上のように、ピコレーザーのペンタイプでは、
まず、商品名がピコレーザーというだけで
実際のピコレーザーが発射されてないという点。
また、適切な波長が選択できないというところから、
効果が期待できないというだけでなく、
逆に肌に害を及ぼす可能性もあります。
安易に購入できるからといって使用することなく、
しっかりとしたクリニックで本物のピコレーザーをつかって
治療をしてもらいましょう。
記事著者
このページは医療に関わる専門的な内容になっています。
そのため、
医師免許を持った加藤晴之輔総院長をはじめ、
日本形成外科学会(JSPRS)専門医、
日本美容外科学会(JSAPS)正会員を有する
ルーチェクリニック医師陣が著者・監修し制作しております。
記事著者・総監修医師:加藤晴之輔
<総院長略歴>
- 岐阜大学医学部卒
- 東京大学大学院医学博士
- 医療法人社団光美会 理事長
- ルーチェクリニック 総院長
- 自治医科大学形成外科非常勤講師
<代表的な資格>
- 日本形成外科学会専門医 専門医一覧
- 日本美容外科学会正会員 名医を探そう
- 日本美容外科学会評議員 評議員一覧
- 国際美容外科学会正会員 Find a surgeon
- 日本再生医療学会会員
- アメリカ形成外科学会正会員
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